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2025年IPO総括

2025年12月31日(水)

本日、2025年の大納会を迎えました。

日本株の投資家は、相場の流れに乗ることができた人は大勝ちした方が多かったのではないでしょうか。

AI・半導体・高市銘柄など、相場をけん引したのは、時価総額が大きくて売買代金の作りやすい銘柄群でした。

一方の小型株の集合体であるグロース市場は冴えない1年となりました。

この大型株優位の相場展開の背景は、東証の市場改革にあると考えています。

東証は、投資家本位の政策を推し進めました。

投資家にとって魅力のある企業になるべく、株主還元はもちろんのこと、企業価値を上げるべく上場企業にその施策を開示させることを求めました。

グロース市場上場企業においても、秋になると、上場後5年以内に時価総額100億円を達成できない場合は上場廃止にすることを決定しました。 

このグロース市場改革は、春先に方向性が開示されたことで、夏場以降に上場を予定していた企業の上場タイミングの修正を余儀なくすることになりました。

その結果、2025年にIPOした企業数は65社と昨年の86社から22社減となりました。
グロース市場にIPOした企業数が昨年の64社から41社へと23社も激減したことで、ほぼ説明がつくと考えます。

グロース市場のIPOをもう少し掘り下げて見ていきたいと思います。

資金調達額(公募+売出し+OA)は平均49億円と前年の46億円からわずかではありますが増加してきました。

時価総額を見ると、平均値は155億円と前年の167億円から減少しましたが、その背景は、公開価格で50億円未満の企業数が前年は27社あったのですが、本年は11社と激減したことが、平均時価総額を上げることになりました。

個人投資家にとってもっとも大事なことは、初値形成ですが、本年のIPO65社の初値騰落率の平均値は40.4%と前年の32.0%から回復してきました。
グロース市場だけを見ると本年は50.3%と昨年の39.6%からこちらも回復してきましたが、過去20年を見ると、かなり低い水準になったといえます。

視点を変えて、グロース市場に上場している時価総額が50億円未満の企業だと、5年以内に時価総額を100億円に上げるのが至難の会社もあり、グロース市場上場企業の再編がここ数年間で増えることが予想される。
上場企業が上場企業を買収ケースも増えており、上場企業数の減少に繋がるともいえるだろう。 

IPOが減り、上場会社も非公開化が進むことで、総上場企業数が減ることになります。
投資対象企業が減ることで、個々の上場企業への資金集中が起こり、結果として時価総額の増加に繋がるともいえるが、投資家の資金を集めるには、投資家にとっての魅力ある企業になることが必須である。

来年のIPOを占うと、数の面においては、2025年を下回る可能性が多分にあるが、その代わりに質の高い企業の上場が多くなることが見込まれる。
その意味では、東証の市場改革は、投資家にとってはフォローウィンドとなるだろう。 

一方、上場を計画中の企業にとっては。これまでのような時価総額での上場は難しく、時価雄額100億円の掛け声の元、投資家の選別がより厳しくなると考えておくべきだろう。

投資家の皆様にとって、2026年も本年に引き続き、良好なリターンが得られる年になりますようお祈り申し上げます。

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プロフィール

西堀敬(にしぼりたかし)

西堀敬(にしぼりたかし)

IPOジャパン編集長
(株)日本ビジネスイノベーション代表取締役
日本テクニカルアナリスト協会検定会員

1960年滋賀県生まれ。大阪市立大学商学部卒。和光証券(現、みずほ証券)の国際部、ウェザーニューズ財務部長、米国系Eコマース会社の日本法人 CFO&COO、IRコンサルティング会社取締役を経て、2011年より現職。上場会社の社外取締役を複数兼務する。
また、2002年より東京IPO編集長、2015年12月よりIPO No.1サイト『IPO Japan』を監修、編集長に就任。TV出演や経済誌への執筆、セミナーや講演会などIPOの第一人者として市場の啓蒙・発展に尽力している。

著書に『改訂版 IPO投資の基本と儲け方ズバリ!』(すばる舎)、『IPO株の本当の儲け方』(ソフトバンククリエイティブ)。


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